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zoom RSS 『コードギアス』への道 谷口悟朗監督編

<<   作成日時 : 2006/07/25 16:04   >>

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第5回 演出デビュー


――資料を見ると『ライジンオー』の第45話「発表!防衛組大百科!!」で演出デビューとなっています。


谷口 『ライジンオー』の途中で内田さんと川瀬さんに、演出をやりたいなら脚本なり絵コンテなりを持ってくるようにと言われたんです。つまり、試験ですね。ただし、なんでも好きにやっていいわけではありませんでした。商業作品の演出である以上「商品性をクリアしているかどうか」も重要だという理由から、『ライジンオー』の中の1エピソードを作れ、という条件がありました。
 そこで私は、オリジナルの脚本を1本書いて、それをさらにコンテにしたものを提出しました。オリジナルの脚本を書いたのは、既存のシナリオだとそれは既にコンテ化されているわけで、それはちょっと卑怯かなと、思ったからです。で、何故か合格したみたいで、これでようやく演出になれました(笑)。そして初仕事が、その第45話だったんです。
 あ、ちなみに試験用に書いた話は第45話とはまったくの別物です。映像化はしていません。初仕事は、川瀬監督や音響の山崎(あきら)さん、編集の瀬山(武司)さんに怒られまくったことしか覚えていなくて……ごめんなさい(笑)。

――そして、次の『元気爆発ガンバルガー』 からは各話演出としての参加になります。


谷口 本格的な演出としての仕事はここからですね。なにしろ新人演出というよりド素人ですから、タイムシート(※1)をどうやってつけたらいいか、レイアウト(※2)をどうやってチェックしたらいいかわからない。ほんの最初だけ、川瀬監督が面倒を見てくださったんですけれど、後は自分でやるしかなかったです。スタジオ内にいる演出さんや作画さんに、わからないことがあるたびにひとつひとつ聞いていって、先輩方の仕事をできるだけメモっていって……。結果的にこれはすごく勉強になりました。一人一人考え方が違って、それぞれがどういう理由でその方法を選んでいるか知ることができましたから。と同時に、絵を描けないことが逆に武器になる、と気付きました。
 さらにその次の『熱血最強ゴーザウラー』の時ですね、ようやく自分で納得できるフィルム作りのきっかけがつかめたのは。
 『ゴーザウラー』の各話演出は、渡辺信一郎さん(後の『カウボーイビバップ』などの監督)、木村真一郎さん(後の『ちっちゃな雪使いシュガー』などの監督)、日高政光さん(後の『ポケットモンスター』シリーズなどの監督)、河本昇悟さん(後の『ふしぎ星の☆ふたご姫』などの監督)など、それぞれ傾向が違う方が揃っていて、おもしろかったですね。
 そういえば、渡辺さんには恩義があるんですよ(笑)。番組の打ち上げの日に、財布を見ると金がない。そこで渡辺さんに、お金を貸してもらったんですよ。その後、所用で外へ出た時、「そういえば、服もしばらく買ってないなぁ」ということに気づき、財布を見たら、お金が入っている(笑)。それで服を買ってスタジオに戻って、渡辺さんの顔を見た瞬間に「あっ」となって、財布にあったお金が何のためのものだったか思い出しまして。あらためて、打ち上げ用のお金を貸してもらいました(笑)。だから私はいつも渡辺監督を応援しています。応援するだけですが(笑)。

――(笑)演出としてキャリアを積みながら、どうすれば監督になれるのか、そのルートが見えてきた時期になるんでしょうか?


谷口 ルートが見える、ということはありませんでした。当時のサンライズは生え抜きでないと監督にはなれなかったですし、それ以前に目先の仕事をこなすだけで精一杯でしたから。私は、大振りタイプで、担当話数の出来具合は、三振かホームランのどっちかというタイプだったんですよ。あと、コメディタッチになると破壊的な方向でやりすぎる傾向にあって、私はおもしろいと思ってやったのが、川瀬さんに「やりすぎだ」と怒られたこともありましたね(笑)。ともかく川瀬さんにはいつも怒られていました、3年間ほど(笑)。
 振り返ってみると、これまでかかわった作品はどれも自分自身のためになったと思うのですが、やはりエルドラン・シリーズはいろいろと印象深いシリーズになりました。
 ひとつは私自身の中に、アニメっていうのは、一部の人だけを向いているのではなく、もっと一般的なものだろうという気持があるんです。エルドラン・シリーズは、子供向けというくくりはあるにせよ、アニメのあるべきひとつのスタイルだったので、やりやすかったというのがあります。
 また各話完結のスタイルというのもよかったです。というのは、続きものよりも1話完結のほうが、自分の演出のダメなところがはっきりわかるんです。逆にほかの人の巧いところもよくわかる。それだけ勉強になるんです。……続きものを作っている私が言う台詞ではないですね、反省します(笑)。

――その次は『機動武闘伝Gガンダム』(※3)に参加ですね。


谷口 あはははは! 実は『ライジンオー』に参加する時から、第2回に話したような理由で「ガンダムには参加したくない」と言っていたんですが、「監督も替わるし、別ものなんだ」と説明されて参加することになりました。参加した当初はまだ火星が舞台だったんですが、気が付くと全然違う内容になっていた。「武闘伝」とか書いてあるし、流派東方不敗って何ですかって感じで(笑)。しかも私が第1話の担当って、だまされてますよ、今川さん(笑)。『プラネテス』や今回の『コードギアス』のプロデューサーである河口さんも設定制作で参加していて、それが初対面でした。『コードギアス』のキャラクターデザインの木村(貴宏)さんや、音響のAPUとの付き合いもここからですね。
 で、作品ですが、『Gガンダム』の今川(泰宏)監督は、川瀬さんとはベクトルはまったく逆方向の演出をされるので、そこにまず苦労しましたね。またまた、ここでも怒られ続けて……。
 川瀬さんの考えのごくごく一部を私なりにまとめてしまうと、演出家は、まず常識的な生活をちゃんと知らなければ、「変」なことも演出できないというものです。一方、今川さんは、むしろ常識的な生活を送ろうと思っても送ることができないその情念みたいなものをフィルムに昇華させるんだ、というタイプ。
 どちらも勉強になって、本人たちはいやでしょうがないと思いますが(笑)、私の演出の師匠というのは川瀬さん、今川さんの二人です。早い時期に出会えたのは幸運でした。感謝しています。

※1 タイムシート
動きのタイミングをコマ数で示す伝票。原画や動画のタイミング、仕上や撮影への指示・申し送りなども書き込まれる。

※2 レイアウト
アニメーターが描く、背景やキャラを配置したそのカットの元絵。このレイアウトをベースに原画や背景の作業が進められる。

※3 『機動武闘伝Gガンダム』
ガンダム同士を戦わせる「ガンダム・ファイト」の優勝国が国際社会の覇権を握る、という世界観で展開されたガンダム・シリーズの異色作。

(第6回に続く)

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