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第7回 『無限のリヴァイアス』から『コードギアス 反逆のルルーシュ』へ ――『ONE PIECE』はいわば担当演出の総決算ということでしたが、そうするとやはり『リヴァイアス』が実質的初監督作という考えでしょうか。 谷口 そうです。監督としてプロジェクトの全体を見据えなければならない、という作業を初めてやったのが『リヴァイアス』ですから。 『リヴァイアス』は、これがダメだったら辞めようと内心決めていました。自分が責任をとれる立場で、自分がおもしろいと思う作品を提出して、お客さんに否定されたら、それはしょうがないだろうと。未練はありませんでしたけれど、当然スタジオでそんなことを言うわけにはいかないので、知っていたのはシリーズ構成の黒田(洋介)さんと……キャラクターデザインの平井(久司)さんは知っていたかな? ――そもそも監督と演出の違いというのはどこにあるんでしょうか? 谷口 ひとことでいうと、演出は自分の担当した30分を完成させるポジションなんです。そして、第1話から最終回までをひとまとめのものととらえて、さらにプロジェクトとして要求されているものに答えを出すのが監督です。監督は幹の部分を作らなくてはいけないけれど、演出は幹には触れられない、といえばいいかな。演出の仕事は幹に枝葉を茂らせることなんです。だから仕事としては根本的に違います。似て非なるものですよ。 私が新人演出の時に監督によく怒られたのは、自分で勝手に「こっちのほうがいいだろう」っていう調子で、勝手に幹をたてようとしていたからなんですね(笑)。監督になってわかりました。そんなことをしたら普通クビですよ、クビ(笑)。 ――たとえば『リヴァイアス』『スクライド』の幹というのはどういうものだったんでしょう。 谷口 幹というのはいくつかあるので、一部だけ言いますね。『リヴァイアス』は、もともと小林(真一郎)企画プロデューサーから「青春ものを」という注文があったんです。私も「ああ、青春ものいいですねぇ」といって応じたんですが、小林さんと私では、青春という言葉に対するイメージが違っていた(笑)。小林さんはもっと明朗なものを考えていたのに、私は全く違う捉え方で、だいぶ乖離があったんですよ。後でわかったんですが(笑)。ただ『リヴァイアス』は、負の感情がメインではなく、その先のステップがあるところまでを幹としては築いておきたかったんです。 『スクライド』の幹の一つは……わからないかもしれませんが、「男は二人いたら、どちらが強いか決着をつけずにはいられない生き物だ」というものです。それが幹でした。少なくとも、この作品はその考えに則っています。 ――そういう監督としての在り方というのは、やはりそれまで縁があったさまざまな監督さんのやり方から学んだのでしょうか。 谷口 監督は、皆さん自分なりのやり方があって、私としては自分なりに理解しているつもりなんですが、基本にしたのは、『ガサラキ』で1年弱付き合いがあった、高橋良輔監督のやり方です。やりきれてなどいませんが、演出の師匠が川瀬監督、今川監督で、監督としての師匠(?)は良輔さんです。最終奥義はなかなか会得できませんが……なにしろ「無想転生」みたいなものだし……。 ――監督が示すべきは「幹」ということですが、今考えていることが「幹」たり得るかどうか、などはどう判断するのでしょうか? 谷口 うーん、具体的に言いづらいんですが、頭のまわりに各バラバラのパーツが浮いているイメージなんですよ。そのパーツのだいたい3割ぐらいが、こう中心に固まってくると、幹が出来てきたっていう感じがします。 ――立体イメージなんですか? 谷口 そうですね。キャラクターのパーツから伸びていくベクトルがいろいろなところで交差していく感じなんです。それで、そのベクトルからはずれたものが出てくると、これはベクトルに合わせたほうがいいか、はずれっぱなしにしたほうがいいか検討すると。目先のことしか考えずにやると、必ずこのベクトルがブレてくるんですよ。ちなみに、立体的なイメージで思い浮かべているのは、これはなにもキャラクターに限っただけでなく、メーカーとかタイアップ先企業とか、そういうビジネス的な要素も入っているんです。 ――ビジネス的要素というのも入るのですか。 谷口 そうですね。私が、大衆演劇の人に影響を受けたというのはお話しましたよね。やはり私たちの仕事というのは、基本的にお客さんよりも目下にいて、お客さんからおひねりをいただいて暮らしているということを忘れてはいけないように思うんですよ。芸術家だなんて堕落した言葉は自分で使うべきではない。あれは他人に対しての、評価・感想としてのみ使うものです。 ――『プラネテス』(※1)で谷口監督を知った視聴者にとっては、谷口監督は「リアル志向」というイメージがあると思うのですが。 谷口 『プラネテス』はああ作ったというだけです。実は『ガン×ソード』(※2)を監督した一つの理由は、そういうイメージで縛られたくなかったので、もっと良い意味でB級テイストな作品をやって、イメージの固定化を避けたかったんですね。 ――すると『コードギアス 反逆のルルーシュ』はどんな作品になるのでしょうか? 谷口 今の時点では語れることは少ないのですが、緊張感の途切れない作品になります。 スタッフ編成がおもしろくて、『ガン×ソード』に『交響詩篇エウレカセブン』――私にとっては『プラネテス』ですが――、そこに『舞-HiME』が少し絡んでくる、という不思議な組み合わせ(笑)。 あと『コードギアス』で大きかったのはキャラクター原案のCLAMPさんとMBSの竹田滋プロデューサーと出会えたことですね。どちらもプロフェッショナルとして、自分たちの仕事に対する責任感や考えがはっきりしている。一緒に仕事ができることを嬉しく思います。 『コードギアス』の各スタッフも注目して見ていただけるとうれしいです。 ――どうもありがとうございました。 ※1 『プラネテス』 03年。同名原作をベースに、デブリ屋(宇宙ゴミ回収業)の主人ハチマキと、周囲の人々の苦悩と幸福を描く。 ※2 『ガン×ソード』 05年。惑星エンドレス・イリュージョンの流浪人・ヴァンと、少女・ウェンディは、カギ爪の男を追って旅に出る。 (終わり) |
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「スクライド」(アニメレヴュー第3回)
2001年7月-2001年12月に放送、全26話。 脚本: 黒田洋介、監督: 谷口悟朗。22年前に大隆起現象により生じた、日本でありながら「本土」とは異なる土地である「ロストグラウンド」。そこにはアルターと呼ばれる特殊能力を持った新生児が生まれるようになった。本作は、自らの能力(アルター)のみを武器に戦いを続けるカズマ、劉鳳といった漢たちの生き様を描いた作品。 ...続きを見る |
アニメレヴュー 2006/12/30 16:44 |
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