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第5回 『あずまんが大王』と『OVERMANキングゲイナー』 ――その後も錦織監督とは『あずまんが大王』、富野監督とは『OVERMANキングゲイナー』で、シリーズ構成を担当します。 大河内 『あずまんが大王』(※1)のシリーズ構成は、かなり変則的なんですよ。シリーズ構成表って、普通は何話でどんな出来事があるって、物語全体の流れが書いてあるんですが、あずまんが大王の構成表はびっしりと数字が書き込んであるだけで、乱数表みたいなんです。この数字は何かというと、原作の四コママンガに対応した数字なんです。つまり、ここで指定された四コマを組み合わせて脚本を書いてくださいって指示なんです。この段階で、この話数は「運動会ネタです」とか「英語ネタです」とか分類してあるんです。原作は、一つ一つのエピソードがもっとバラバラに入っているんですけれど、アニメにするならこうしたほうが、もっと多くのひとにわかりやすいんじゃないかと。 ――『OVARMANキングゲイナー』(※2)は、どうでしたか。 大河内 こちらもシリーズ構成としてはかなり変則的なやりかたで、各ライターさんをできるだけ縛らない――縛らなさすぎだという話もあるぐらい(笑)――方法でやりました。 『キングゲイナー』が自分にとって大きかったのは、富野さんという、自分がアニメを見るきっかけになった人と戦おうと思ったことですね。自分が好きだった富野作品って、大抵、スタッフの中に富野さんに抗う人がいて、それがいい方向に作用しているように感じたんです。だから、たとえ負けてもいいから、大監督の富野さん相手に抗いたいと思った。だから、既にあった富野メモをご破算にするところから初めて、勝手な設定を付け加えたりして。机も、富野さんの隣にしてもらって。一番、厳しい場所に自分を置いて、戦いたいと思ったので。 ――シナリオライターの方はスタジオには入らず、自宅作業が多いですよね? 大河内 『無限のリヴァイアス』で黒田洋介さん(※3)がやはりずっとスタジオに入って作業していたという話を聞いて、まあ、そのマネですよね(笑)。どんなスタイルが向いているか分からなかったので、とりあえずいろんなスタイルを試してみようと思って ――実際にスタジオで作業されてどうでしたか。 大河内 面白かったですね。特に富野さんの隣で書くというのは、精神的にもプレッシャーで、『Zガンダム』世界のパイロットになった気分でした。「なんだ、このプレッシャーは!」って、きっとこういうことなんだろうと(笑)。 あと、アニメーターさんや演出さんなど、他の部署の人と雑談できたのは収穫でした。「ああ、こんなこと考えているんだ」とか「作画の人からすると、これは大変だけどモチベーションは上がるんだな」、そういうことが分かってきて、すごく刺激的でした。こういう経験が具体的に生きてくるのは、『プラネテス』の時なんですが。 ――ここでちょっと基本的なことを聞かせてください。シナリオって、どうやって勉強すれば書けるようになるんでしょうか? 大河内 僕の場合は、第4回目で言った通り、星山さんのシナリオを何度も何度も読んだんです。だから誰かに尋ねられたら「自分がいいと信じられる脚本を100回ぐらい読んでみたら?」と言うでしょうね。それしか知らないので。もっとも、そこは、あくまで入口に過ぎないのですが。 ※1 『あずまんが大王』 02年。あずまきよひこによる同名4コマ漫画のアニメ化。女子高校生たちのありそうでありえない日常が描かれる。 ※2 『OVERMANキングゲイナー』 02年。シベリアのドーム型都市「ウルグスク」から、ヤーパン目指しエクソダスする主人公ゲイナーたち。シベリア鉄道がエクソダスを阻止しようと迫ってくる。 ※3 黒田洋介 脚本家。主な作品に『スクライド』、『ハチミツとクローバー』など。 (第6回に続く) |
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