『コードギアス』関連オフィシャルブログ

アクセスカウンタ

zoom RSS 『コードギアス』への道 シリーズ構成・大河内一楼編

<<   作成日時 : 2006/08/15 11:52   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

第4回 初シナリオと初シリーズ構成



――『∀ガンダム』(※1)のシナリオを引き受けたのは、やっぱりシナリオに興味があったんですか?

大河内 いや、想像したこともありませんでした(笑)。なので、もっとお気楽に「記念受験」くらいの気分で引き受けたんです。富野(由悠季)(※2)さんと話してみたいと思ったし、一生に一度くらい生トミノに怒られるのもいいだろうと(笑)。
 小説の方は、編集者として携わっていたから、まだ見えていた部分があったんですけど、アニメのシナリオは全然分からなかった。あとで聞いたんですけれど、富野さんは僕が書いたプロット(※3)を読んだ段階で「あの子はダメだね」って言ったそうなんですよ。確かに、ホントそれぐらいひどかった(苦笑)。そんな具合だから、何度シナリオを書き直しても全然通らなくて。見かねた河口さんも夜中までつきあってくれて、一緒に直してもみたんですけど、プロのレベルには達さなかったんです。最終的には富野さんがコンテで大幅に直してくれて……それが、第23話『テテスの遺言』でした。
 記念受験らしく、見事に玉砕です。それなのに、もう一本書いてみないかと依頼してもらったんです。今度はもう記念受験ではいられませんよね。だって、すごく迷惑かけたのに、それでも依頼してくれたんですから。
 そのとき、僕は既に小説の仕事に戻っていて、実際の依頼は1か月後ということになったんです。その間に、なんとかしなければならない。でも、師匠がいるわけでもないし、今から学校に通っても間に合わない。小説の仕事もしなければならない。困って困って、いただいていた∀ガンダムの他の回の脚本を読んだんです。僕は『銀河漂流バイファム』(※4)など星山(博之)(※5)さんの作品が好きだったので、星山さんの脚本をバカみたいに100回ぐらい読んだんです。そうしたら、なんとなくシナリオが書けるようになったんです。理論的にどうこうというより、体で覚えたっていう感じですね。だから僕の一番の転機は、初脚本の第23話と次の第36話『ミリシャ宇宙決戦』の間にあったんですよ。

――シナリオっておもしろいと思いましたか。

大河内 おもしろかったです。もちろん、編集者もおもしろかったし、小説もおもしろかったんですけど。でもこの後、ある作品のノベライズの仕事が来たんですけれど、『∀ガンダム』のほうがアップアップで――なにしろコツがわかっていないんで時間が読めないんです――断ったんですよ。そうしたら、シナリオライターになったんだと思われてしまったみたいで、小説の依頼がこなくなりましたね。『∀ガンダム』に参加した後も、ライターとかゲームデザイナーの仕事は続けていたんですけれど。

――ゲームデザイナーというのは?

大河内 10代にボードゲームをいっぱいやったという話をしましたけど、その流れで僕はカードゲームを作っていたんです。『∀ガンダム』に参加する前にも、ちょうどガンダムのカードゲームを作っていて。バンダイから送られてきた∀ガンダムのデザインを見て、「こ、これが次のガンダム?」って面白がってたら、まさか自分が書くことになろうとは(笑)。その後もシナリオの打合せに参加しながら、「そうかこのメカはこう活躍するのか、ならカードにこういう能力を割り振るとおもしろいな」とか考えていましたね。ちょっと不思議な感覚でしたけれど。
――その次が『機動天使エンジェリックレイヤー』(※6)で、シリーズ構成(※7)ですね。

大河内 当然ですが『∀ガンダム』の時にうまくできたという実感がなかったので、その後もシナリオの仕事がくるとは思っていませんでした。ところが、突然、錦織(博)監督(※8)が声をかけてくれて、しかも、シリーズ構成で。嬉しかったのですが、最初は驚きの方が強かったですね。錦織監督とは、ゲームの仕事で一瞬ニアミスしただけなんですが、それを覚えていて声をかけてくださったんです。でも、錦織さんは∀ガンダムの僕の脚本回を見たことなかったらしくて、もちろん脚本も読んでない。それなのに……河口さんもそうですけど、みんな怖いことしますよね(笑)。
 引き受けてはみたものの、『∀ガンダム』にはシリーズ構成という役職の人がいなかったので、シリーズ構成って何の仕事かも分からなかった。それで、学生時代の友人で、いつのまにかアニメ脚本家になってた――それは、向こうから見ても同じだったでしょうけど(笑)――吉野弘幸(※9)さんを呼び出して「シリーズ構成って何する人なの?」って質問攻めに(笑)。
 そんな素人シリーズ構成なのに、各話の脚本家さんは名の知れた方がズラリとそろってて、すっごく緊張しました。まあ、シリーズ構成が新人だから、あえてそうしたんでしょうけど。ともかく、そんな有様なので、周囲の人に助けてもらってばかりで。『エンジェリックレイヤー』がおもしろくなったのは、参加してくださったベテランのライターの方をはじめ、スタッフのみなさんのおかげですね。

※1 『∀ガンダム』
99年、富野由悠季監督。遠未来の地球が舞台。20世紀初頭のような文化を持つ地球人類と、ムーンレィスと呼ばれる月人類の接触を描く。「黒歴史」と呼ばれる「封印された過去」の中に全てのガンダム・シリーズを包含するというアイデアが盛り込まれた。

※2 富野由悠季監督
主な作品に『機動戦士ガンダム』(79)など。最新作は『リーンの翼』(06)。

※3 プロット
物語全体の粗筋を短い文章で構成しておく段階のこと。

※4 『銀河漂流バイファム』
83年、神田武幸監督。異星人との戦闘に巻き込まれた少年少女たちは、捕虜になった両親に会うため宇宙を旅する。

※5 星山博之
主な作品に『機動戦士ガンダム』(79)、『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』(91)、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』(96)。

※6 『機動天使エンジェリックレイヤー』
01年。原作はCLAMP。「天使(エンジェル)」と呼ばれる人形たちが闘う擬似格闘ゲームに魅せられた鈴原みさきの物語。

※7 シリーズ構成
監督と相談しながら作品全体のストーリー構成を考える役職。

※8 錦織博監督
主な作品に『天使になるもんっ!』(99)、『奥様は魔法少女』(05)、『獣王星』(06)がある。

※9 吉野弘幸
主な作品に『舞-HiME』(04)、『舞-乙HiME』(06)など。『コードギアス 反逆のルルーシュ』では、副シリーズ構成と脚本を担当。

(第5回に続く)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い
『コードギアス』への道 シリーズ構成・大河内一楼編 『コードギアス』関連オフィシャルブログ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる